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Unit B-2 AIに質問させる・ダメ出しさせる

対応コンピテンシー: B3 | 所要時間の目安: 10分

なぜこのスキルが必要か

生成AIには、知っておくべき2つのクセがあります。ひとつは、足りない情報を勝手に推測で埋めて、それらしい出力を作ってしまうこと。もうひとつは、利用者に肯定的に応答しやすい(お世辞を言いがちな)ことです。このクセを放置すると、「前提がズレた成果物」と「根拠のない安心」を受け取ることになります。逆に、AIの側から質問させる指示と、忖度のない批評をさせる指示を使えれば、AIは単なる下書き係から、企画や発表の準備に付き合ってくれる率直な壁打ち相手に変わります。

コアの解説

  • 技法1: 質問させる(インタビュー方式) — 「作る前に、必要な情報を私に質問してください」と頼むと、AIが対象者・目的・制約を尋ねてくれます。何を伝えるべきか分からないときほど有効です。質問は「3つまで」のように数を区切ると答えやすくなります。
  • 技法2: 忖度のない批評をさせる(ダメ出し依頼) — そのまま見せると褒められがちです。役割(厳しい査読者・審査担当)、お世辞禁止の明示指摘の数理由と改善案をつけるという4点を指定すると、率直で具体的な指摘を引き出しやすくなります。どんな観点で評価してほしいか(構成・根拠・分量など)も添えると、さらに的確になります。
  • 批評は鵜呑みにしない — AIの指摘にも的外れなものや誤りが混ざります。指摘の妥当性を自分で判断し、納得できるものだけを反映してください(最終判断は常に人間の仕事です)。

お題と体験の流れ

自分に近い職種のタブを選んでください。Step 1: 批評対象を用意する → Step 2: AIに質問させる → Step 3: ダメ出しをさせる の3段階です。批評対象は実物がなくても、簡単な下書きや Unit B-1 で作った成果物で構いません。

題材: 学会発表スライド構成へのダメ出し依頼

Step 1 — 症例報告や研究発表のスライド構成案(箇条書きで十分)を用意します。

Step 2 — まず、AIに質問させます。

これから地方会で症例報告の発表をします。スライド構成を良いものにするために、
まず必要な情報を私に質問してください。質問は3つまでにしてください。

Step 3 — 質問に答えたら、構成案を貼ってダメ出しを頼みます。

以下は私が作ったスライド構成案です。
あなたは学会発表の指導経験が豊富な、厳しい指導医です。お世辞や励ましは不要です。
この構成案について、改善すべき点を重要な順に3つ、それぞれ「なぜ問題か」と
「どう直すか」をつけて指摘してください。

(ここにスライド構成案を貼り付け)

題材: 院内研修企画への批評依頼

Step 1 — 院内研修の企画案(テーマ・対象・時間・進め方の箇条書きで十分)を用意します。

Step 2 — まず、AIに質問させます。

院内研修を企画しています。企画を良いものにするために、
まず必要な情報を私に質問してください。質問は3つまでにしてください。

Step 3 — 質問に答えたら、企画案を貼ってダメ出しを頼みます。

以下は私が作った院内研修の企画案です。
あなたは研修企画の審査を長年担当してきた、厳しい教育担当者です。お世辞は不要です。
この企画案について、改善すべき点を重要な順に3つ、それぞれ「なぜ問題か」と
「どう直すか」をつけて指摘してください。

(ここに企画案を貼り付け)

題材: 実習生指導計画への批評依頼

Step 1 — 薬学実習生の指導計画(週ごとの目標と担当業務の箇条書きで十分)を用意します。

Step 2 — まず、AIに質問させます。

薬局実習に来る実習生の指導計画を作っています。計画を良いものにするために、
まず必要な情報を私に質問してください。質問は3つまでにしてください。

Step 3 — 質問に答えたら、計画を貼ってダメ出しを頼みます。

以下は私が作った実習生の指導計画です。
あなたは実務実習の受け入れ経験が豊富な、厳しい指導薬剤師です。お世辞は不要です。
この計画について、改善すべき点を重要な順に3つ、それぞれ「なぜ問題か」と
「どう直すか」をつけて指摘してください。

(ここに指導計画を貼り付け)

題材: 症例検討会の発表構成へのダメ出し依頼

Step 1 — 院内の症例検討会で発表する症例のレジュメ構成案(箇条書きで十分)を用意します。

Step 2 — まず、AIに質問させます。

院内の症例検討会でリハビリテーションの症例発表をします。発表の構成を
良いものにするために、まず必要な情報を私に質問してください。
質問は3つまでにしてください。

Step 3 — 質問に答えたら、構成案を貼ってダメ出しを頼みます。

以下は私が作った症例発表のレジュメ構成案です。
あなたは症例発表の指導経験が豊富な、厳しいベテランのセラピストです。お世辞や励ましは不要です。
この構成案について、改善すべき点を重要な順に3つ、それぞれ「なぜ問題か」と
「どう直すか」をつけて指摘してください。

(ここにレジュメ構成案を貼り付け)

手順

  1. 批評対象(構成案・企画案・計画)を用意します。完成度は低くて構いません — むしろ下書き段階のほうが、指摘の価値を実感できます。
  2. Step 2 の質問させるプロンプトを送り、AIからの質問に答えます。「そこは考えていなかった」という質問が出てきたら、それ自体が収穫です。
  3. Step 3 のダメ出しプロンプトを送り、指摘を受け取ります。
  4. 指摘を読み、妥当だと思うものだけを成果物に反映します。納得できない指摘には「その指摘は今回の目的には当てはまらないと思います。なぜそう考えたのですか?」と聞き返してみるのも良い練習です。
  5. この対話履歴は消さずに残しておいてください。 領域Bの実践課題にそのまま使えます。

期待される出力の例

  • Step 2 では、「発表時間は何分ですか?」「聴衆はどのような構成ですか?」など、成果物の方向を決める質問が返ってきます。
  • Step 3 では、「結論のスライドが冒頭の問いに答えていない」「対象者のレベルに対して内容が多すぎる」のような、構造への具体的な指摘が返ってきます。単なる誤字指摘や「素晴らしいです」だけなら、プロンプトの役割・条件指定を強めてください。

うまくいかない典型パターンと対処

  • 役割を指定しても、まだ褒めてくる: 「最も重大な問題を1つだけ、遠慮なく指摘してください」と絞る、「10点満点で採点し、減点理由を説明してください」と数値化させる、などさらに具体的に指定します。
  • 指摘が抽象的で、どこを直せばいいか分からない: 「該当する箇所を引用したうえで指摘してください」と頼みます。
  • 質問が多すぎて答えきれない: 「質問は3つまで」「1回にひとつずつ」と制限します。
  • 実在が怪しい文献やガイドラインを根拠に指摘してくる: 根拠の実在は自分で確認してください(Unit A-1で学んだハルシネーションは、批評の場面でも起こります)。

安全上の注意

批評対象にも患者情報を含めないでください

スライド構成案や企画案に、実在の患者の情報(症例の詳細を含む)や実在の個人名を含めたまま貼り付けないでください。症例報告の内容を扱う場合は、貼り付ける前に匿名化・抽象化してください。未発表の研究データの扱いは、所属機関のルールに従ってください。

自己チェッククイズ

このユニットの理解度を確認できます。合否の判定はなく、記録も保存されません。

成果物フィードバック(実践課題)

このユニットで行った対話は、そのまま領域Bの実践課題に使えます。対話の最後にフィードバックAIの採点プロンプトを送信して講評を受け、返ってきた講評を領域Bクイズページの提出欄に貼り付けてください(Unit B-1のお題で行っても構いません)。

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領域Bクイズに挑戦しましょう。クイズ(5問中4問正解)と実践課題の提出がそろうと、B領域の目録を発行できます。

参考資料(任意)

  • 木下淳「医薬品情報の収集・評価・加工・提供の授業で生成AIを使った事例」(日本医学教育学会 ICT教育委員会シンポジウム 第3回, 2026-01-20): スライドPDF / 講演動画 — 薬学の題材に関連する実践事例です。

参照しなくても本ユニットは完結します。